19世紀の技法“シルバーフリクション コーティング”を用いた美しいダイヤル
モリッツ・グロスマン創立12周年を記念したモデル
1826年、ドイツのドレスデンに生まれたモリッツ・グロスマン。ドイツ時計職人の先駆者であり、1854年に友人のアドルフ・ランゲの助言により自身の工房をグラスヒュッテに設立。1878年には、かの地にドイツ時計学校も設立するほど政治的・社会的活動にも努めた。彼の死と共にマニュファクチュールも解体されたが、2008年11月11日、その遺志を受け継いだグロスマン・ウーレン社がグラスヒュッテに設立され、モリッツ・グロスマンの伝統的な時計作りが復活したのである。
その12周年を迎えるにあたって、設立記念日である11月11日に限定モデルが発表された。文字盤には、なんと19世紀に用いられていた表面加工技術がとりいれられている。「シルバーフリクション コーティング」と呼ばれるこの技法。まずは、銀の細粒、そして塩を含む白い粉に少量の水を加え、ブラシで文字盤に擦りつける。そのために、事前に汚れを徹底的に落とし、表面を粗めに仕上げることが不可欠となる。シルバーコーティング仕上げの前に、ダイヤルのインデックスには手彫りのエングレービングが施され、その中に黒いラッカーが充填される。その後、銀が必要以上に厚くなることを避けるために窯で焼くのだ。 表面は粗さが残るよう仕上げられており、エングレービングが施された部分にのみラッカーが行き渡るよう、余分な塗料は取り除かれる。銀のパウダーはラッカーには付かないため、ロゴやインデックスなどの刻印部分はシルバーフリクション コーティングされることなくブラックラッカーが残り、輝くようなシルバーとコントラストが生まれるのだ。そのきめの細やかさはベルベットのよう、と表される。文字盤にはさらに保護コーティングが施されることで、酸化や環境の変化から文字盤を守ってくれる。
さらに大ぶりなローマ数字インデックス。また1875年に製作された「M.GROSSMANN」のオリジナルロゴを採用することにより、ビンテージ感満載の仕上がりとなっている。
搭載するのは、キャリバー100.1。幅広の平行なリブ模様が施された2/3プレートが美しい、プッシャー付き手巻きムーブメントである。このオリジナル機構は、リューズを戻す際の針のずれや、異物が内部に入り込むのを防ぐという役割を担っている。
「ⅩⅡバースデーエディション」は、18KRGケースモデルが世界限定6本、ステンレススティールケースモデルが世界限定6本の合計12本限定となる。